先日、東京・渋谷2丁目のイタリアン「トラットリア・シチリアーナ・ドンチッチョ」で友人とディナーをしてきた。
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青山学院大学前の道路沿いにオープンし今年で14年目を迎えた老舗だが、イタリアの郷土料理に特化した店としてはかなり草分け的な存在である。
この日は室内のテーブル席が空いておらず、歩道に面したテラス席で。
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まだ気温も暖かくて、秋の空気を愉しむには逆にテラスの方がよかったのかもしれない。
さて、お料理はアラカルトのみ。以下、こんなものを頼んでみた。
「シチリア風2種のカポナータ」。
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パプリカやタマネギなど数種の野菜のカポナータにナスのカポナータ。うん、美味い。太陽の恵みを感じさせる野菜の甘さと爽やかなビネガーの酸味がワインを誘う。
「じゃが芋のフリット」。
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フツーのフライドポテトね。
「パルミジャーナ・ディ・メランザーネ」。
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冷製のナスとトマトのパルミジャーノ焼きだが、ちとカポナータと被ったか。けど、やはりトマトはナスの兄弟だけあって(ナス科)、相性がイイねえ。やはりワインが進む。
「スパゲティーニのトマト・バジリコ・ペコリーノのちょい辛ソース」。
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これは料理のハイライトだった。アルデンテのパスタにバジリコペーストとペコリーノの旨味がしっかり絡み、完璧な構成に。トマトの酸味も欠かせないアクセント。
「花巻・白金豚の香草炭火焼き」。
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シンプルだからこそめちゃ美味い。白金豚はシェフの地元・岩手県の名産だが、かつてこの近くで震災から復興途上の岩手県を応援する姉妹店イタリアン「岩ヴィーノ」を営まれていたように、地元愛が半端ない。
「レモンプリン」。
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かなり爽やか。それでいて、きちんとカラメルも入っていて面白い味わいに。友人曰く、「このプリンを食べにここに来る価値がある」と。
「カンノリッキ」。
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シチリアの伝統的なペイストリー系の菓子だが、「ゴッドファーザー」でマフィアが愛するスウィーツとして何度も登場。
マーロン・ブランドな気分でエスプレッソ・ダブルと一緒に堪能した。
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総じて大満足のディナーだったが、この店が多くの人から長年愛され続けている所以は、まず、とにかく明るく陽気な雰囲気で食事が愉しめるところだろう。
大常連も一見も分け隔てなく、親切に対応してくれる。サービスを担当するのはおもに若くて爽やかな好青年たち。料理にもお酒にもそれなりに精通していて、迷っていたら的確なアドバイスがもらえるはずだ。
そして、店構えから言えばリストランテでも十分通用するのに、あえて「トラットリア」という位置付けで敷居を低くしてくれているところ。非常に使い勝手が良くてありがたい。
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この日はカップルにドレスアップした父母と小さな子ども2人の家族連れ、おじいさん連中の集まりなど実に多様な面々が楽しく陽気にワイワイやっていた。
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そんな面々を横目に、私もこれからの人生、様々なシーンのなかでこの店を訪れたいなぁと物思いにふけった秋の夜長であった。