「カリフラワー、セップ茸」。
この時期のセップ茸はとりわけ香り高い。そこにチーズが香るリゾット状のクリーミーなカリフラワー。トータルでは、実に力強くも優しい味わいだ。つなぎに米のピューレを使っているとのことだが、これが全部米だと間違いなく重くてシンドくなる。
「ヒラメ、ホウレンソウ、貝のソース」。
Barbueという、おそらく私が食べたことがない種類のヒラメとフランスのホウレンソウの組み合わせ。ヒラメの身はしっかりとしていて、ホウレンソウは日本のものに比べて香りが控え目だった。初めての味わいに感動。貝のソースも2つの食材の絶妙な橋渡しになっていた。
「リエーブル、クロゴマ」。
これが今回のハイライト。滑浦さんは元々ジビエを得意としていて、べキャスやライチョウ、ウズラなどは頂いたことがあったが、リエーブルは初めてだった。丁寧に身を解し、血と赤ワインで煮込まれているのだろうか、ジビエ独特の野生味が香り立ち、重厚で香り高い味わいだ。クロゴマチップは滑浦さんのオリジナル。ジビエとゴマとか思い付かないわ。素晴らしいアクセントでした。
「リンゴ、シードル、サフラン」。
滑浦さんはかつてパティシエとしても働いた経験があり、デセールが上手いことでも定評がある。料理は美味しいのに取って付けたようなデセールが出てきてチグハグな印象を受けるレストランが多いが、MONTÉEは安心して最後まで身を委ねることができる。シードルとサフランとか…独創的。やっぱり思い付かないわ。軽くて爽やか、美味しゅうございました。
「チョコレート」。
これも神戸時代、かなり初期のうちに頂いた記憶がある。見た目だけですでに美味しいのだが、ひと口頬張っただけで濃厚なチョコレートと芳ばしいナッツの香りが口いっぱいに広がり、やっぱり美味しかった。
最後は小菓子とハーブティーで〆。
「オレイエット」。
「ギモーブ」。
「ハーブティー」。
総じて、新生MONTÉEは懐かしくもあり、また、新しくて刺激的でもあった。
滑浦さんのフランスに対する熱い想いが、料理のレベルを神戸時代よりもさらに高い段階に昇華させたと言ってよいだろう。
今回、滑浦さんの料理を頂き、改めて挑戦することの大切さを教えてもらった気がした。
滑浦さんはパリで店を再開する際、当初は店名の変更を考えていたというが、MONTÉEのまま再開すればいつか神戸時代のお客の目に留まってまた来てくれるかもしれないというマダムの助言があり、店名継続を決めた。
きっと神戸時代のお客が新生MONTÉEを見つけ訪れたら、私と同様の感想を抱かれるのではないだろうか。
これからもさらなる高みを目指し、滑浦さんの挑戦は続いていく。そして、坂の頂に向かって上り続けていくことだろう。