フランス最後の夜はパリ14区のミシュランガイド一つ星レストラン「Cobéa(コベア)」にて。
先日の記事で書いた滑浦高行さんの「MONTÉE」と同じ14区にあり、同区でミシュランガイドの星を獲得しているのはこの2店のみである。
店内は非常にシックでエレガントな雰囲気。席間が広く取られているため、十分なプライベート空間が確保されるのは嬉しい。
この日のサービスはソムリエを含む4名のスタッフが担当。皆英語が堪能で愛想もよく、安心して身を委ねることができた。
コースは4皿、6皿、8皿の3種類から選択。来店してから腹の具合を見て決めることができる。今回は基本の6皿をオーダーしてみた。
その全貌をざっとご紹介する。
ワインは ロワール地方の「Pouilly Fumé」をセレクト。
まずはアミューズ。
茶色い方は海老の風味が香ばしい。黒い方はイカ墨と推察するが、ウスターソースも使っているのか、まるでタコ焼きのような味わい。あ、、、いきなりバカ舌を露呈してしまったか。。。
自家製パン。マスタード味のバターで食す。面白い。
前菜はコーヒーフレーバーを感じる…何か。詳細失念。
続いては意外や意外、ニョッキが出てきましたよ。うーん、なかなか。
ホタテ貝。個人的にはこの皿がハイライトだったな。 彩りも美しい。 しかし食材の詳細は語彙力不足で把握できず…(笑)。
魚料理はタラだった。フライしたエンダイブが乗っかっている。そして皿のふちにちょこんとあるのは柚子のソースだった。
シェフは日本の調味料が好きなのだろうか。ではやっぱり冒頭のアミューズもたこ焼きにインスパイアされたものでは。
肉料理は鶏肉のロースト。ソースは何と味噌風味ではないか。
香ばしくパリっと焼き上げられていて美味しかった。
その後、すぐにデセールに行くのかと思いきや、温かいチーズの料理が。バケットとともに食すスタイル。
今度こそデセールかと思いきや、シャーベットが供され、目の前でレモンリキュールをかけてくれた。きっとこれは口直し的なポジションだなとお察し。
予想的中。この後がデセールで、一気に2皿が同時提供された。
これまた口直しだろうか、 併せてパッションフルーツも。
最後は小菓子とコーヒーでフィニッシュとなった。
総じて、どの料理もかなり濃厚かつ凝った味付けだったため、苦しいほど満腹になってしまった。
アミューズ、パンを除いても6皿以上あるが、どうカウントすればよいのか…(笑)。8皿コースは絶対に無理だった。
食後感としては、正統派フレンチではなく、日本の調味料などを隠し味に交えた創作的要素が強い料理という印象。正直言って、私が望むものではなかった。
しかし今回、フランス人シェフが作る現代的フレンチを頂くのは初めてのことであり、本場で評価されるクオリティを味わうことができたのは非常に大きな収穫だった。
さらに特筆すべきは、サービスに関して日本のレストランをはるかに凌駕していたこと。
日本では、星付き店であってもサークル帰りの大学生のようなスタッフが接客を担当していることもあるが、正直申し上げて、お店の品格を落としている。
Cobéaのスタッフは皆20代~30代だと思われるが、料理・酒に関する十分な知識を有していて、各テーブルに対する目配せもしっかり行き届いている。
質問されて分からないことは分からないとはっきり答え、すぐさま先輩スタッフに確認に行く。そのやり取りが非常にスムーズで好感が持てた。
また、お客から見られることを意識しているのだろう、姿勢も美しく、身なりは髪型から靴先まで清潔感に溢れている。
今回はこのスタッフのサービスクオリティの高さが結果的に大満足なディナータイムに導いてくれたと実感している。
さらに言うと、今回訪れた各テーブルに担当者がつくような店では、いずれも食後の満足感を増幅させるような接客サービスをしてくれた。
料理だけで見れば、日本でも本場フランスの味をはるかに超えるフレンチを出す店はきっとたくさんあるだろう。
しかし、サービスについてはどうか。納得してサービス料10%を支払える店は少ないと思う。
別に大学生のアルバイトでも全然イイ。食に関心があって、お店が出す料理・酒をしっかり自分の言葉でプレゼンテーションしてくれれば。
一旦この辺でフランス美食旅行編は締めたいと思う。
今回、フランスに行き、本場の料理、サービス、伝統文化、歴史風土…多くのことを学ばせてもらった。
そして同時に、自分の知識・経験不足を痛感させられた。
もっと料理やワイン、マナーのことも知りたいし、知る必要がある。
またの再訪まで、引き続き日本の皆さんに色々とご教示いただければと思っている。どうぞよろしくお願いいたします。