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【神戸・元町】ひたむきに伝統的な日本料理を追求する名店、「松喜」

神戸は元町商店街3丁目の南側。

細い路地にひっそりと佇む日本料理の店がある。

御年86歳の栗林富二さんとご子息・秀一さんが営む「松喜」だ。

ミシュランガイドでは2011年から2016年まで6年連続一つ星を獲得した名店だが、目立たない立地に加えメディア露出がほぼゼロということで口コミサイトの投稿数は極めて少ない。

是非、こんな素晴らしい店があるということを知ってもらいたく、記事を書くことにした。

まずはこの店の歴史がなかなか興味深い。

それは1989年のこと。

初代店主(富二さんと血縁関係はない)の死去に伴い、当時独立を考えていた富二さんが屋号をそのまま引き継いで2代目になった。

初代の腕前はピカイチだったようで、沢山の常連客が付いていた。神戸の数々の有力企業が毎晩のように松喜で接待・宴会を開いては月末にまとめてツケを支払っていたらしい。

初代に負けず劣らず、富二さんも京都「嵐山吉兆」で35年勤め、板長までのぼりつめた実力派だが、初代の味を愛した常連客を失望させまいと初代のメニューを懸命に研究した。

例えば、初代が得意としていたてっちり。河豚は嵐山吉兆では扱わない食材だったが、試行錯誤を重ねてレパートリーに加えたのだという。

こうして京料理の名店と下町割烹の味をミックスして今のスタイルに昇華させることができたのも、富二さんの決して奢らないひたむきさと培った確かな技術の賜物だろう。

ミシュランガイド総責任者(当時)のジャンリュック・ナレと富二さん

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