6月1日、神戸にフランス郷土料理の惣菜店が新規開店したので、東京から遥々舞い戻ってきた。
場所はハンター坂の西側、神戸女子大学まで通じる東西の一本道。この辺りは最近、ハンバーガーや鉄板焼きの人気店の出店が相次ぎ、なかなかアツイ一角である。
店名は「Cuisine Passe Partout」(キュイジーヌ・パスパートゥ、以下「パスパートゥ」)。
シェフは吉川修司さん。
私と同じ生まれ年、小学校が隣り同士、実家も近いことからプライベートでも仲良くさせてもらっている。
吉川さんは専門学校を卒業後、三宮「ル・レストラン・マロニエ」など街場のレストランやブラッスリー、カフェで修業を積み、2015年からワインバー「crayeres(クレイエール)」のシェフとして腕を振るった。
その後は「ホテルピエナ神戸」での朝食ブッフェプロデュースや出張料理人をしながら独立開業を準備、この度、満を持してパスパートゥの開店に漕ぎつけた。
吉川さんの料理を初めて頂いたのは確か2007年の1月。三宮のフレンチカフェのアラカルトメニューだったが、こんなにもウマイ料理を出すものかと感心した記憶がある。
当時はお互い面識すらなかったが、のちの雑談の中でその料理を作っていたのは吉川さんだったことが分かり、なるほど合点がいった。
私はそれほど彼の料理センスには一目置いているが、そこに飛躍的に磨きがかかったのはやはりクレイエールでの経験ではないだろうか。
クレイエールはミシュラン星付きの凄腕料理人や巷で話題の人気シェフが夜な夜な集まるハイレベルなワインバー。
良質なワインに合う料理を供して、口の肥えたお客たちを納得させることがいかにタフな仕事かは容易に想像できるが、良い意味でプレッシャーを感じながら料理やワインの研究にまい進できる環境が整っていたと想像する。
さらには日本料理や鉄板焼き、焼鳥といった他業種の先輩シェフたちと出会い、創作ラーメンの開発や他店とのコラボイベントなど、フレンチに留まらない多方面でのアウトプットが増えたことも彼にとって貴重な経験だったと思う。
パスパートゥでは、こうしてひと回りもふた回りも大きくなった吉川さんの料理を頂くことができる。