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「レストラン吾妻」、110年の歴史に幕

神戸のグルマン、Bさんから前回レポートしたばかりの老舗洋食店「レストラン吾妻」が3月末で閉店するとうかがったのは3月30日のこと。

衝撃を受け、ダメなのは分かっていたが、店まで足を延ばしてみた。

19:30頃店前に着いたが、すでに準備中の掛け札。

男性がひとり店前に立っていたので、声を掛けると、「もっと早く知っていたら」と帰るにも帰れないようす。

続いて、男性が車で乗り付けて中をうかがっている。

「もう今日で終わりなんですか?」「そうみたいです。もう入れないようで」「そうですか…」

最後は自転車で乗りつけた大柄の男性が店の中に入っていく。

ご主人としばし談笑、記念撮影だけして出てきた。

元大関琴欧洲の鳴戸親方 だった。

「琴欧洲さん、常連だったんですね」「今日知って来ました」「近くなのでまた見学させてください」「お待ちしています」

とどさくさに紛れて握手してもらった。

ご主人はきっと最後まで行列されるのが嫌でひっそりと閉店したかったのだと思う。

何ともカッコイイ引き際の美学だ。


こうして皆から愛されたレストラン吾妻は2023年3月31日、110年の歴史に幕を下ろした。

もうあのシチューやオムライスを味わえないと思うと本当に悲しいが、ご主人と奥様におかれてはまだまだお元気なので、悠々自適にゆっくりと休んでいただきたい。

お疲れ様でした、そして美味しいお料理、ご馳走様でした。

追伸:先週店前を通ると、店先に客席用の椅子が。

カードに記入しようか一瞬躊躇したが、常連さんの方がもっと末永く可愛がってくれるに違いないと思い、店をあとにした。

地元・神戸でも昨年12月29日には愛してやまない洋食店、「グリル ロッグ・キャビン」が72年の歴史に幕を下ろした。

世代交代と後継者問題…ここに来てどっと実感させられることが多くなっている。

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