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【東京・新宿御苑前】本物の王道フレンチを味わおう、「スクレ・サレ」

東京は新宿御苑前、大都会の喧騒から離れたこの一帯はマンション、オフィスビル、商店街、小学校、公園などが程良く混在していて、非常にのどかな空気感を生み出している。

もう10年も前になるが、当時付き合っていたカノジョとJR新宿駅の近くで大喧嘩をし、少し落ち着いて話せる場所に移動しようとたどり着いたのが、この界隈の花園公園だった。

しばらく話をしてお互い冷静さを取り戻すことができたのだが、それもこの空気感のお蔭だと今でも信じている。

さて、今回ご紹介するのは、その公園の北側マンションの1階に2017年4月、オープンした「スクレ・サレ」である。

2年前のオープンとはいえ、東京フレンチのオールドファンなら誰もが一度は聞いたことがある店名だろう。

なぜならこのスクレ・サレ、1998年に一度、新宿は荒木町で産声を上げている。

フランスで出会ったシェフの中西貞人さん、ソムリエの「伊東さん」、サービスの「菜摘子さん」が三人で始めたレストランだった。

志あって海を渡った三人の若者が帰国して、自分たちのレストランを開店した…この話を聞いたとき、何とロマンティックなストーリーだろうと思った。

中西さんは当時31歳。調理師学校卒業後、「北島亭」の北島素幸シェフがシェフを務めた赤坂「パンタグリュエル」を皮切りに、市ヶ谷「ル・マンジュ・トゥー」、四谷三丁目「パザパ」を経て渡仏、帰国後は護国寺「パ・マル」でシェフを務め、すでに十分なキャリアを有していた。

中西貞人さん

本格フレンチのコース料理が3,500円から、しかも24:30のラストオーダーまで注文できるという使い勝手の良さで、界隈の遊び上手なオトナたちの間でたちまち人気店となった。

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ちなみに1998年というと、平成不況の真っ只中。多くの個人商店が倒産や廃業に追い込まれたが、この荒木町界隈に限ってはバブルの残り香を感じるくらいに景気が良かったのだという。

しかし、店絶頂のさなか、ソムリエの伊東さんが突然病で倒れ、闘病生活の末、帰らぬ人に。

三本柱の一人がいなくなったスクレ・サレ。

当時のことを私は全く存じ上げないので軽々しいことを言うのは控えたいが、中西さんと菜摘子さんにとってはどこか自分たちの店ではないような落ち着かなさがあったのではないだろうか。

結局、2012年7月、中西さんはスクレ・サレをクローズすることを決断した。

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