「カネロニ」。
ホワイトソースが全体を優しく包み込んでいて、実に素朴な味わいだ。無駄に塩を打つことはせず、焦がしたチーズの香りだけで白ワインをいざなう。きっとイタリアの家庭では、ディナータイムにこんなカネロニが供され、家族団欒のひと時を楽しんでいるものと想像する。
「本日の鮮魚」。
その日の新鮮な魚介をソテーや煮込み、フリット等で頂く。写真は真鯛に塩、胡椒、ハーブで最小限の味付けを施し、オリーブオイルでグリルしたもの。しっとりふっくらと焼き上げられた身は旨みが凝縮されている。やはりシンプルな調理こそが素材の良さを最大限に引き出すのだと実感。
「牛フィレ肉のソテー マルサラ黒トリュフソース」。
シチリア伝統のマルサラ酒を煮詰めた甘いソースが牛フィレ肉と抜群の相性を発揮。そこに黒トリュフの香りが加わり、一層食欲が掻き立てられる。牛フィレ肉は絶妙なミディアムレアで大変柔らかい。どの要素が欠けても成り立たない総合芸術だ。
マルサラソースは茶美豚のロース肉にも応用。
うーん、やはり肉によく合っている。しかも、そこそこ淡白な味わいの肉が好ましいのではないか。そういう意味では茶美豚は正解だと思った。
「骨付きラム肉」。
ラム肉はシェフが納得したものだけを厳選して仕入れている。
確かマダムの話では、味付けは塩と仕上げのワインビネガーのみだったかと記憶しているが、ここまで旨さが引き立つものかと感心した。再度申し上げるが、やはり良い素材はシンプルに調理してこそ最も輝くのだ。
[…] その前にドンナロイヤの予習だが、1952(昭和27)年にイタリア人のジュゼッペ・ドンナロイヤ氏が神戸元町・旧居留地で創業した神戸最古のイタリア料理店であり、現在はジュゼッペ氏の跡を継いだ2代目・渡邊元則さんが83歳にしていまだ現役で腕をふるっている(以前の記事はこちら)。 […]