東京メトロ表参道駅とJR渋谷駅のちょうど中間地点あたり。
青山学院大学沿いの通りにはオトナも愉しむことができるレベルの高い飲食店がたくさん揃っている。
例えば、以前にご紹介したシチリア料理の「トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ」をはじめ、 フレンチの重鎮・田代和久シェフの「ラ・ブランシュ」、ジビエを用いたフレンチが名高い「ラチュレ」、中華料理と沖縄料理の融合が新しい「TAMA」、モダンでリーズナブルなイタリアンが人気の「ビス トリス」…等々、枚挙にいとまがない。
そんななかにあって2軒目使いにも適した、ちょっとイケてるバーが新たにできた。
その名は「EMME(以下、エンメ)」。
ソムリエのご主人とパティシエールの奥様が二人で営む、ワインとデセールを愉しめる店である。
以前、自己紹介で20年ほど前に食べた「イデミ・スギノ」のアセットデセールの美味しさに感動した話をしたが、ここはまさにそのアセットデセールがウリの店とあって、行かないわけにはいかない。
今回は「虎萬元」からの2軒目としてハシゴをしてきた。
店は外付けの階段を上がり、中2階的なロケーションに位置する。
店内はソファー席とカウンター席、2名用の半個室(1室)から構成されている。
迷わずカウンター席を選択した。
さっそく期待のデセールを実食といきたいところだが、まずはその前にワインを。
最近はもっぱらヴァンナチュールにハマっているので、オススメをお願いしてみた。
いずれも甘さ控えめ、スッキリしつつもコクがあり、デセールとの相性が非常に良かった。
うーむ、さすがパートナー。奥様のデセールの特長をよく理解されている。
では、デセールの紹介へ。
今回頂いたのは以下の2皿。
まず、「瀬戸田レモンとマヌカハニーのヴァシュラン」。
美しいメレンゲをパックリ開くと、マヌカハニーのアイスが。その下にはフレッシュなレモンが隠れている。
マヌカハニーのコクのある甘さと爽やかなレモンの酸味が絶妙にマッチしている。
途中で少量のグラッパを垂らすと、さらにオトナの味に変化。
奥様は「セクシーな味わい」と表現していたが、まさにそんなことばが当てはまる。
そして、「タルト・タタンパフェ」。
クリームに白味噌、アイスに根セロリ…と独特の隠し味が潜んでいるが、全体的には違和感なくまとめられていて、なおかつオリジナリティも発揮できている。
まさに鋭敏な感性と思い切った遊び心が成せるワザだ。
伺うに、奥様は京都出身で大阪の専門学校を卒業後、東京の有名パティスリー数店舗での修業を経て、先述の「ラチュレ」でシェフパティシエールを務めた凄腕。
そういえば以前、ラチュレで食事をした際、デセールが美味しかったと室田シェフに伝えたところ、「うちのパティシエは腕が良いんです」と仰っていたのを思い出した。なるほど、合点がいった。
一方、ご主人は私と同じ神戸出身で学年もひとつ違いという嬉しい偶然。23歳で上京し、ソムリエ資格以外にもプロボクサーの免許も持つ、色んな意味でプロフェッショナルなお方。
お二人とも美男美女で一見するととっつきにくい印象をもつかもしれないが、そこは関西人のノリ。ユーモア溢れるトークで楽しませてくれる。
今回はワインとデセールで大変愉しいバータイムを過ごさせてもらったが、夜はデセールのほかにリエットやコロッケ、パスタなどのアラカルトのフードメニューを、また昼にはバターチキンカレーやクロワッサンセットなどのランチメニューを提供しているという。
今後もさまざまなシチュエーションでお邪魔してみたい店である。