1月16日、ミシュランタイヤが「ミシュランガイド2020フランス版」でリヨンの老舗「ポール・ボキューズ」を55年ぶりに三つ星から二つ星に降格させると発表した。
これまでミシュランガイドがシェフが代替わりするタイミングで降格措置を取るケースが多かったことに鑑みると、2年前にポール・ボキューズ氏が亡くなったことが多少は影響しているのかもしれないが、店を訪れた調査員は「サービスは三つ星レベルだが料理はもはやそのレベルにない」という主旨の発言をしたようだ。
正直、2年前からそんなに変わってないんじゃないの?と思ってしまう。
やはりミシュランガイドは明確な評価基準を公表するとともに、降格の際には具体的な理由を少なくとも店側には伝えてあげるべきではないか。
まあ事務が煩雑化するし実際にそんなことはできないのだろうが、今後の反省材料として活かすためにも何らかのヒントを与えるのが良心というものだ。
そして、ポール・ボキューズのように半世紀も三つ星を維持してきた優良店はもう「殿堂入り」させて、評価対象から外すべきだと思う。
たとえどんなに味やサービスが落ちたとしても、それまでの輝かしい歴史は変わることがないのだ。
さらに言うと、こういった店が料理の歴史・文化の醸成と技術の発展に貢献してきたからこそ、今の三つ星店があるわけだ。
今さら降格措置をして誰が得をする。これを機にポール・ボキューズが液体窒素を使い始めても誰が喜ぶだろう。ボキューズ・ドールが廃止になったらどうしてくれるのか。
どんな時代においても、スズキのパイ包みはやはり美味いはずだ。
降格措置により客離れやシェフの自殺まで引き起こしてしまう影響力の強いミシュランガイド。
歴史・権威もあるし、私はある程度、評価を参考にしたいが、そろそろ抜本的な改革に乗り出さないとマズい状況にあると思う。