以前にも書いたが、神戸は洋食においては関西圏で随一のレベルの高さを誇っていると言える。市内には数多くの老舗洋食店が点在し、地域のランドマーク的な存在になっている店も少なくない。
そんななかでどの洋食店がお気に入りかと訊かれると、以前から私は迷わず元町の老舗「ロッグ・キャビン」と答えていた。しかし近年、このロッグ・キャビンと双璧をなす店を見つけてしまった。
それは新開地にある「グリル一平」である。
創業は1952年、もうすぐ70年目を迎える言わずと知れた名店だが、恥ずかしながら私は長く元町の支店しか訪れたことがなかった。
しかし今から5年前、本店を初訪問。
米が立ちバターが香る、デミグラスソースで頂く美しいオムライス。
肉汁溢れる分厚いヘレ肉とドミグラスソースが黄金比のヘレビーフカツ。
上質な有頭エビや帆立、白身魚などを軽やかに揚げた魚介のフライ。
どれをとっても実にバランスが良く秀逸で、そのクオリティの高さに思わず溜息をついてしまったわけだ。
以来、現存する店のなかでは私のツートップのひとつとなっている。
現在、店を切り盛りする3代目・山本隆久さんの祖母が一流のコックを集めて始まったという「グリル一平」だが、その当時の味が代々連綿と受け継がれ、これまで長きにわたり地域に愛されてきたと察する。
その証左として、1995年の阪神淡路大震災発生当時のエピソードが興味深い。
テレビ番組でも放送していたのでご存知かもしれないが、震災により、店舗は全壊。一時は閉店も考えたというが、何と常連客が私財を投じて仮店舗を造り再開せざるを得なくなったというのだ。
新開地の人情・心意気も素晴らしいが、そこまで地域に求められる店というのもなかなかあるまい。まさに店冥利に尽きる話である。
お会計の際、いつも厨房から聞こえる3代目の気持ち良い「ありがとうございます」。そこには地域への恩義を忘れない感謝の気持ちが込められているのだと私は思う。
現在、店はこの新開地本店に加えて元町店、元町東店、三宮店の4店舗。三宮店では、東京・新御茶ノ水の名店「七條」で修業を積んだ若き4代目が腕を振るう。
正直、本店の域に達している店舗はまだない。より広く、より愛される店を目指して頑張ってもらいたい。
頁、とても見やすくなりましたね。
素敵だと思います。
神戸で洋食と言えば、個人的には
「もん」も好きです。味だけではなく、
雰囲気というテイストもプラスして。
ボッサ様
コメントを頂戴し、誠にありがとうございます。
「欧風料理もん」、実は行ったことがないんです。。。
確かにココ抜きに神戸の洋食を語ることはできないですよね。
ボッサ様もお気に入りとのこと、早速うかがってみたいと思います。
ブログのデザイン変更の感想もありがとうございます。
夏に向けてこれからも変更あるかと思いますが、お付き合い願います。
よろしくお願いいたします。