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久々の奈良にて

「奈良にうまいものなし」とは明治生まれの文豪・志賀直哉が言った言葉だが、少なくとも現在ではそんなことはなく、きちんと奈良にもうまいものはある。

先日、約5年ぶりに奈良を訪れたが、改めて郷土食の醍醐味を再認識してきた。

郷土食とは、その土地で独自に育まれてきた飲食物とでも定義しようか。

まずは柿の葉寿司。

古来から柿の葉の抗菌作用をうまく利用した保存食として定着し今は奈良土産の定番のひとつにもなっているが、改めて心して味わってみると、柿の葉の上品な香りと甘めの酢、熟成されたネタが絶妙なハーモニーを保っていて大変愉しめた。

おもなネタは鯖と鮭の2種類。

古くは鯖のみだったというが、明治時代に「平宗」が縁起物とされる鮭を新たに提案してこの2種類が定着したのだという。

今回はその「平宗」とラジオCMでお馴染みの「たなか」を食べ比べしてみたが、個人的には「たなか」が好みだった。

次は地酒。

奈良と言えば「春鹿」や「八咫烏」が有名だが、今回はもうひとつの有名どころ、油長酒造の「風の森」を酒販店でセレクトしお持ち帰り。

「純米しぼり華 秋津穂65」という純米酒だったが、甘く微発泡だと聞いたので、自宅にてワイングラスに入れて柿の葉寿司と堪能。

…ウマイ。

甘めだがキリリと爽やかな風味はまるでスパークリングのよう。やはり柿の葉寿司との相性はバツグンで、地のものでペアリングすることの素晴らしさとありがたみを実感した。

やはり長年、その土地の風土のなかで独自の食文化を守り育んできた先達に対して畏敬の念を覚えずにはいられない。

次回は奈良漬に鹿煎餅?に、奈良のうまいものを引き続き再発見できればと思う。

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