次は「別れ」のハナシだが、これはひとえに転勤に紐づくものではない。
やはり何と言っても5月に神戸・県庁前のビストロ「bec」の岸本達哉さんが亡くなったことに尽きる。
そんななかで馴染み深かった店主たちと語り尽くした偲ぶ会は実に印象深いものだった。
みみみ堂(県庁前)
佐野坂修一さん、美紀さんが夫婦で営むカレー店。岸本さんが営業前に立ち寄り食べていたのはラムカレーだったという。その後、岸本さんがラムカレーをオマージュした羊肉のスパイス煮込みを短期間提供していた。一緒に食べたかったなぁ。
ブラッスリー・ロバボン(ハンター坂)
小場佐慎也さんがフランスのエスプリを詰め込んだブラッスリー。同じフレンチとして岸本さんとは一番仲が良かっただけに相当な喪失感だったはず。色んな岸本さんバナシをしたが話はまだ尽きない。「フランスを貫け」という岸本さんの言葉を胸に、ハンター坂のモンマルトル化にまい進する。
ハナタニ(ハンター坂)
花谷和宏さんが営むオオバコのリストランテ。花谷さんと岸本さんは古くからの付き合いで、考え方は違えど、互いに切磋琢磨する間柄だったと思う。岸本さん曰く「最近、神戸らしい店になってきた」というハナタニ。かつてイタリアン不毛の地とまで言われた神戸に蒔いた種は10年の時を経て、色んなところで芽を出している。引き続きドンナロイヤのような店を目指していただきたい。
ヴィーコロ(県庁前)
田邊成雄さんが営むオステリア。3周年を迎えてすっかりトアウエストの路地裏に定着。丁寧に楽しみながら料理を作りワインを注ぐ田邊さんの姿についつい岸本さんを重ね合わせてしまう。
ふたりの接客アプローチは全く異なるが、今年は特に色々と話す機会があって芯は同じなのだと改めて実感した。
というワケで、簡単ではあるが2022年の1年間を振り返ってみた。
来年も東京、関西、国内外と、イイ店に出会えることを愉しみにしている。
皆様、佳いお年をお迎えください。
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