そして、いよいよお待ちかねの夕食。
部屋で供されるのは旅館ならでは。中居さんがテンポよくセッティングをしてくれる。
最初に供されたのは前菜。
まるで秋の宝石箱のような美しさに感嘆。
続く椀物は足赤エビと湯葉。西京仕立てにほっこり。
お造りはトラフグと初ガツオ。
全く異なるアプローチが愉しい。
クエはあられ揚げに。
初めて頂いた、クエのあられ揚げ。春菊に菊の花という合わせも見事。
蓮根はす蒸しには新鮮なイトヨリダイ。
蜜柑麩のアクセントが良かった。
地元であがった黒鮑は肝ソース焼きで。鱈白子は何と春巻に。
とにかく魚介が新鮮で地魚の旨さを堪能させてもらった。
佐賀牛はヒレ肉をミディアムレアで。
ガルニの自然薯も最高だった。
お食事はさっぱりと、しょうがご飯に赤出汁、お漬物。
甘味は大納言葛焼で〆となった。
総じて、これまで頂いた日本料理・懐石料理のなかでは間違いなく3本の指に入る感動を得た。
ましてや、そんな料理をオペレーションが難しい旅館の個室で頂くことができたのは本当に稀有なことだと、なおさら感動した。
とりわけ素晴らしい食事の後は興奮して眠れなくなるのが通例だが、この日に限っては真横に敷いてもらった布団にそのまま滑り込みすぐに落ちた。
翌日は早く目が覚め、庭に出て夜明けの空色が移ろうようすを観察後、朝食会場へ。
九州の山海の幸をふんだんに使った和定食といったおもむきで、胃袋に滋味・旨味が染み渡った。
食後は改めて大地の恵みに感謝したくなった。
1泊2食付でそれなりに値は張るが、それ以上の満足感・幸福感が味わえることは保証したい。
また11月のくんちに合わせて行きたいところだが、今年はとりわけ混雑が予想されることだろう。
皆さんも是非、機会があれば唐津へ。