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神戸「広東村」の面影を訪ねて

神戸在住のお若い方はご存知だろうか。

かつて、トアウエストの北、現在、トア山手という超高層マンションが建つ場所に、それはそれは怪しくて、魅力的なエリアが存在していたことを。

2005年のMeets Regional「神戸本」にその最後のようすが掲載されている。

写真のページ右下に映る怪しげな男は、1949年からこの地で営業していた金宝酒家の2代目、ウェスリー氏。彼によれば、かつてこのエリア一帯は「広東村」と呼ばれていたのだそう。

小学校に入る前だったか、東京の親戚がうちに遊びに来た際、親がここで夕食の席を設けた。料理のことは全く覚えていないが、薄暗い店内に不気味に輝くエミール・ガレのランプやアンティークの家具と個性的でひょうきんなウェスリー氏の接客が強烈に印象に残っている。

1992年11月「Meets Regional」より

そして、2005年に巨大高層マンション「トア山手」建設に伴う地域再開発で多くのお店が移転・閉店を与儀なくされた。今でこそ面白いお店がぼちぼちと定着しつつあるが、何しろ鉄筋コンクリートでできたビルの1階テナントではまちの猥雑感は出てこないし、かつての賑わいとは程遠いものがある。

現在のようす

ウェスリー氏もここでしばらく店を続けていたが、数年前に病気でこの世を去った。その行く末が住む者、働く者、来る者、造る者…全て人の手に委ねられているという点で、まちは生き物だとつくづく思う。好きなまち、エリア、お店があるのならどんどん訪れて、その場所を盛り上げていただきたい。その営みが少しでも永く続くように。

懐かしの「杏花村」も今は「ア・ラ・リンゴ」に…

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