グルメの話から少々逸れるが、私の本棚の中身を一部ご紹介したい。
人生の先輩や友人から「なぜ生まれてもいない時代のことをよく知っているのか」などと尋ねられることがしばしばある。
それはひとえに古書という古書を読み漁っているからである。
こと神戸に関する本で言うと、所有しているのはグルメ本が圧倒的に多いが、これらはもともと実家で所有していたものから古書店で見つけたものまでさまざまである。
ただ、グルメ本だけでは、神戸グルメの輪郭・全容を掴み語ることはできない。
グルメを語るに当たっては、その前提・背景にある、各々の時代のトピックや大衆の動向が分かる刊行物が有益となる。
学術書は読み疲れるので、私はかつて神戸市広報課が発行していた月刊誌「市民のグラフこうべ」や民間企業が発行するタウン誌「月間神戸っ子」を手に取ることが多い。
後者はありがたいことにほとんどのバックナンバーが公式HPにPDFで掲載されているので読み放題。
一方で前者は現在、神戸市がバックナンバーをデジタル化して2026年の公開に向け準備中。
書籍自体は運が良ければ市内の古書店等で購入することができるが、最近なかなかお目にかかれない。
ここに参考までに画像を掲載する。




どれもなかなか美しい表紙だが、活字・出版全盛の頃とあって、写真も豊富で文章には含蓄があり、今の薄っぺらい内容の広報紙とはまるで別物。
歴史や風俗文化についてかなり詳しく書かれていて、現在では埋もれてしまった事実を結構拾ってくることができる。
これだから古書の読み漁りは止められない。
また、古い写真からも発見がある。
例えば、実際にページをめくってみると、北野異人館街、トアロードに塩屋のジェームス山の風景写真などが掲載されている。




今の神戸にはない静謐さ、気品を感じ取ることができるし、現在も営業している店舗の場所にかつて、予想外の店舗が入っていたりと、これまた思わぬ発見がある。
しかし、表紙の外国人の子どもたちは今どうしているのだろうか。
1979年で3〜5歳くらいとお見受けするので、1975年前後の生まれと察する。
震災以降は神戸港が往時の活力を失ってしまい、貿易関係の仕事も随分と衰退してしまった。
もう神戸にはいないのかな。
