総じて、中西さんが作る料理はいずれも王道中の王道を行く伝統的なフランス料理だ。そして、甘味や塩気がストレートに伝わり、それでいて重層的に旨い。つまり一見分かりやすく、実はきめ細やかで深いのだ。
これは中西さんが長きにわたる、さまざまな環境下での修業経験のなかでも、決して周囲・時流に流されることなく、本当に良いものだけを見抜き、追求してきた賜物だろう。
フレンチに限らず、若い人たちには是非こういう本物の王道料理を味わってもらいたい。
昨今の小手先だけの技術を駆使した実験的料理や見た目のばえ狙いの料理、どうよ。分かりにくく、実は(実に)浅くはないか。
あ、愚痴になるのでやめようと思う。
最後に、新生スクレ・サレはこの春、ようやく2周年を迎えた。
荒木町時代から数えると実に21年の月日が経つが、時代の流れとともに営業形態も客層も随分と変わったはずだ。
中西さんも今年で53歳になり、30代の三人が若さを武器に、昼も夜も回していた当時とはわけが違う。
しかし、今も変わらずスクレ・サレがお客の心を掴んで離さない店であり続けるのは、料理のクオリティ、コストパフォーマンス、サービスも含め、創業時の三人の想いが忠実に受け継がれているからではないだろうか。
是非、これからも長く本当に美味しいものを教えてもらいたい。
そして、長く三人の夢の続きに立ち会えることができればと思う。
[…] 以前にも紹介した、中西貞人さんと菜摘子さんが営むビストロだ。 […]